Obsidian で実践するツェッテルカステン
第4回 人文学とデジタル技術(2026)
本章ではノート術の具体的な手法に入っていく前に、そもそもなぜメモを取ることが重要なのかを確認しておきます。研究や学びの現場で生じる重要な瞬間——本を読んでいて引っかかったとき、誰かと話していて違和感を覚えたとき、ふと考えがつながったとき——は予告なくやってきて、放っておけば数秒から数日で消えてしまいます。
メモは、こうした内からの気づき(ひらめき・問い・違和感)と外からの情報(読書・対話・観察・ウェブ)を、漏れなく取り込むための装置です。書き出して外部化することで、初めて頭の中の断片は「失われない知的資源」になります。頭の中だけにしまっておけるものは、思っているよりずっと少ないのです。
そして取り込んだメモは、考えることと書くことに直接つながります。手を動かして書く行為そのものが思考のプロセスであり、蓄積したメモは後の論文・原稿の素材にもなります。取り込む → 考える → 書く——この一連の流れを支える基盤がメモであり、本章で扱うツェッテルカステンや Obsidian は、その流れをより効果的に回すための具体的な仕組みです。
本章では、ツェッテルカステン(Zettelkasten)と呼ばれるノート術を、人気のノートアプリ Obsidian を使って実践する方法について解説します。ツェッテルカステンはドイツの社会学者ニクラス・ルーマンが膨大な執筆成果を上げるために用いたことで知られるノート管理術であり、その手法を踏まえた知的生産の手引きとしてズンク・アーレンス(Sonke Ahrens)の著書『How to Take Smart Notes』があります。
研究や論文執筆においては、単に思いつきを記録したり文献情報をメモするだけでなく、それらを自分の言葉で整理し、関連付け、新たな発想につなげることが重要です。ツェッテルカステンはまさに、日々のメモを書き溜めて知識同士をリンクすることで、時間をかけて知識のネットワークを育て、そこから新しい発見やアイデアを生み出すための方法です。
コンセプト:情報の濾過装置 — フィルターを通して、薄い情報を「濃い知識」として抽出していく
内からの気づき
ひらめき・問い・違和感
外からの情報
読書・対話・観察・ウェブ
📝
小さいメモ帳
📱
Evernote
🗂
125×75mm カード
書き写し(自分の言葉で再構成)
Obsidian
ツェッテルカステン本体(永久保存メモ・リンク・MOC)
同期(ツェッテルカステンページとして対応)
Notion
ツェッテルカステンページ — Obsidian と同期
プロジェクトページ — 上記との同期ページとして扱う
Zotero
✓ Notion 同期本・論文の文献情報を管理。Notion プロジェクトページと双方向で自動同期するようになり、ノート上から文献を直接参照できる。
⇄ Notion / → 執筆環境
移行(メモ・引用・文献情報を持ち込む)
📄
Microsoft Word
∑
TeX
コンパイル
📕
PDF(論文・原稿)
= 濾過された「濃い知識」
各層がフィルターとして働く:キャプチャで取りこぼしを防ぎ、Obsidian で自分の言葉に翻訳し、Notion でプロジェクト文脈に編成し、執筆環境で他者に伝わる形へ仕上げる。下流に行くほど情報量は減るが、密度は上がる。
「キャプチャ」を支える物理的な道具についての補足です。
小さいメモ帳:ロルバーン ポケット付メモ(ミニ)
デルフォニックスのロルバーン ポケット付メモ ミニを、いつもポケットに入れて持ち歩いています。細いボールペンをリングの部分に差し込んでおくと、ペンとメモが常に一緒になり、思いついた瞬間にすぐ書き出せます。ひらめきや違和感は数秒で消えてしまうので、「取り出してから書くまで」の摩擦をいかに減らすかが肝心です。
デルフォニックス 公式オンラインストアで見るノート選びの参考に:『時間をもっと大切にするための小さいノート活用術』
髙橋拓也氏の『時間をもっと大切にするための小さいノート活用術』には、さまざまな可愛い小さいノートが紹介されており、自分に合ったノートを選ぶ際の参考になります。「どれを使うか」自体が習慣化のモチベーションを左右するので、最初の1冊をじっくり選ぶ価値はあります。
玄光社 公式ページで見る「常に書ける」を成立させるための物理的なセットアップ。
普段はなるべく最小限の荷物で行動したいと思っています。近所を散歩するときなどは、パタゴニアの小さいヒップパック(私が使っているのはこれよりだいぶ古い型ですが)に、小さいメモ帳・薄い財布・薄い iPhone・鍵だけを入れて出かけます。
これだけあれば最低限の行動・生活はできるので、個人的に エッセンシャル・バッグ と呼んでいます。大きめのバッグを使うときも、この小さいバッグはそのまま中に入れておきます。「いつもの一式」がカプセル化されているので、外出のたびに中身を入れ替える必要がなく、メモ帳を持ち忘れることもありません。
📓
小さいメモ帳
💳
薄い財布
📱
薄い iPhone
🔑
鍵
🏔 思想的背景:ウルトラライトハイキング
この「最小限で十分」という発想は、ウルトラライトハイキング(Ultralight Hiking, UL)の思想に大きく影響を受けています。長距離ハイキングにおいて持ちものを徹底的に削ぎ落とすことで、かえって自由と機動性が得られる──不要なものを減らすほど、本当に必要なものとの関係が深まり、行動可能な範囲が広がる、という発想です。
古典的な原典として、Ray Jardine の Beyond Backpacking(1999)があります。彼は登山道具メーカーが大型化させた装備を見直し、自作・軽量化・選択と集中を徹底することで Pacific Crest Trail などの長距離トレイルを驚異的なスピードで踏破しました。
私はこの概念や実践を生活全般に導入できないかということに個人的に関心を持っており、研究テーマとしても関心を持っています。
背景にあるのは、身軽なほうが思考もはかどるという感覚です。フィールドワークをするときも、なるべく重い荷物を持たずに、そのまま山を歩いたり、川を歩いたりできるスタイルを心がけています。装備に縛られず歩ける身体は、観察にも会話にも開かれており、結果として現場で得られる気づきが増えます。
エッセンシャル・バッグはこの実践のひとつであり、同じ発想を「メモ環境」に適用したのが今回のアーキテクチャ──つまり、情報の濾過装置もまた、知識のウルトラライト化の試みと捉えられます。
日本国内で UL 関連の道具を実際に手に取れる場所として、Moonlight Gear というお店があります。同店は YouTube チャンネルも運営しており、道具の紹介やフィールドでの使い方を見ることができます。
これまで紹介してきた発想を、別の角度から体系化した本。
Tiago Forte『SECOND BRAIN(セカンドブレイン) 時間に追われない「知的生産術」』
「セカンドブレイン」(第二の脳)と呼ばれる外部記憶システムを使い、情報を 捕捉(Capture)→ 整理(Organize)→ 蒸留(Distill)→ 表現(Express) という4段階で扱う CODE メソッド を紹介する本です。
本章で紹介する情報の濾過装置のアーキテクチャや、ツェッテルカステンの考え方と、基本的なプロセスは共通しています。「捕捉 → 整理 → 蒸留 → 表現」という段階を持ち、後段に行くほど情報が濃縮されていく流れは、ルーマンのツェッテルカステンと現代的なノート術が共有する骨格と言えます。
東洋経済新報社 公式ページで見る「ツェッテルカステン」は、カードと箱を意味するドイツ語で、紙のカードに書いたメモを箱に整理して蓄積するアナログなノート術が元になっています。ニクラス・ルーマンは紙のカードにアイデアを書き込み、それらに体系的な番号を振って相互に参照(リンク)させることで、生涯にわたり90,000枚以上のメモを蓄積し、そこから70冊以上の著作と数百本の論文を生み出したと言われます。
ツェッテルカステンの肝は、単なるメモの蓄積ではなく、メモ同士を有機的に結びつけて知識のネットワークを形成することにあります。現代ではアーレンスがこの方法論を研究者向けに整理し直し、効果的なノート術として紹介しています。
それによれば、ツェッテルカステンには主に以下の3つの要素があります。
(a) メインの箱(本箱)
自分の発想や考察を書き留めたメモを蓄積するメインのノート群。日々の思考や読書から得た洞察を、自分の言葉で書いた「永久保存版のメモ」として格納していきます。
(b) 文献の箱
書籍や論文などの出典情報や引用を管理するための箱。参考文献のメモや引用の原文など、他者のアイデアの記録はこちらに。ツェッテルカステン本体には自分自身の考えだけを入れ、他者から得た知識は文献管理用の箱やツール(Zotero など)に分けておきます。
(c) 索引
メモ群の中から主要なトピックやテーマへの入口となる「索引カード(索引メモ)」。関心分野やキーワードが一覧化され、それぞれに対応するメモの番号やタイトルが記されています。デジタルの場合はタグや検索機能、あるいは後述する「構造化ノート」に相当します。
ツェッテルカステンの目的は、こうした仕組みを通じて自分の考えを深め、新しい発見を促すことにあります。情報を単に並べて保管するのではなく、異なる文脈のアイデア同士を結びつけることで、自分だけのユニークな視点や議論を生み出すのです。また、このノート体系はしばしば第二の脳とも呼ばれ、頭の中だけでは管理しきれない知識を外部化し、思考の負担を軽減する効果もあります。
ツェッテルカステンの実践では、目的に応じていくつか種類の異なるメモを使い分けます。
(i) 走り書きメモ(Fleeting Notes)
アイデアのひらめきやその場で覚えておきたい事柄を、とりあえず書き留めたメモです。紙の切れ端やメモ帳、スマートフォンのメモアプリなど何でも構いません。数秒で消えてしまう思考を逃さず捉えることが目的なので、文法や形式は気にせず、キーワードや断片的なフレーズでも大丈夫です。走り書きメモはあくまで一時的なメモであり、後で永久保存メモに育てる価値があるものだけ清書し、不要になったものは捨てるという取捨選択を行います。
(ii) 文献メモ(Literature Notes)
本や論文、記事など特定の文献から得た知識を記録するためのメモです。読書中に心に残ったポイントや重要な論点を、自分の言葉で簡潔に要約して書き留めます。ここで大事なのは、元の文章をそのまま写さないことです。アーレンスも「読んだものをコピーするのではなく、読者はテキストと意味のある対話をすべきだ」と述べています。自分の言葉で書くことで、著者との対話を行い、内容の理解もより深まり、後で自分のアイデアとして扱いやすい形で知識が蓄積できます。文献メモは自分以外の誰かの主張を扱うものなので、それ自体は最終的な「自分の知識」にはなりませんが、後に重要な役割を果たします。
(iii) 永久保存メモ(Permanent Notes)
ツェッテルカステンの中心となるメモで、最終的にこの箱に蓄積された内容があなたの知的財産となります。永久保存メモは、一つひとつが独立した知的トピックを表しており、それぞれが自己完結的に意味が通じるように書かれています。具体的には、ある一つのアイデア・事実・考察について自分の言葉で文章化したものです。一つのメモには基本的に一つの論点だけを含め、複数の話題を詰め込まないようにします。それぞれのメモが小さな文章(ミニエッセイ)のようなイメージです。アーレンスは物理学者ファインマンの言葉を引用し、「本当に理解しているかどうかは、それを初心者向けに教えられるかで分かる」と述べています。永久保存メモを書く際も同様に、その内容について予備知識がない人に説明するつもりで書くと良いでしょう。
(iv) プロジェクト・メモ
特定の執筆プロジェクト(論文や本など)に関するメモで、仮のアウトラインや ToDo リスト、草稿の断片、引用リストなど、そのプロジェクトに固有の情報をまとめたものです。プロジェクトメモは一時的な性質が強く、そのプロジェクトが終われば不要になる可能性が高いでしょう。ツェッテルカステンのメインとは別にプロジェクト専用のフォルダやノートブックを作り、そこで管理します。
4種類のメモの連携
これら4種類のメモは互いに連携して働きます。日常的には走り書きメモでアイデアを捕捉し、読書を通じて文献メモで知識を整理し、そこから自分なりの考察を永久保存メモとして蓄積する、という流れです。ポイントは、文献から得た知識を必ず自分の思考の文脈に翻訳してから永久メモにすることです。アーレンスも「本から得たアイデアは、自分自身の思考に組み込む前に、必ず自分自身の言葉に翻訳しなければならない」と強調しています。
質の高いメモを書くためには、読書の段階で考えながら読むことが欠かせません。やみくもに情報を書き写すのではなく、批判的に内容を咀嚼し、自分の中で再構成していく姿勢が大事です。以下のポイントを意識して読むことで、単なる受け身のインプットではなく、思考を深める読書ノートが取れるようになります。
ツェッテルカステン法は最終的に説得力のあるアウトプットを生み出すことを目指しています。説得力のある論文や文章とは、筋道が通っていて事実に裏付けられたものです。そのような文章を書くためには、実は書き始める前の準備段階に多くの作業が必要です。情報収集、読解、熟考、発想、概念の整理、関連づけ、専門用語の定義づけ、構造の工夫、そして推敲と編集……これらはすべて執筆プロセスの一部と言えます。
ツェッテルカステンを継続的に運用していくと、日々の読書ノートやアイデアメモが自然と蓄積され、それらが見えない下書きのような役割を果たすようになります。日頃からメモを蓄積・整理・連携させておけば、いざ論文やレポートを書こうという段になって、「何を書くべきか」「どんな切り口で論じるか」がすでに明確になっているからです。
さらに、ツェッテルカステンではアウトプットに直結する形でボトムアップに構成を組み立てていきます。メモ同士の繋がりを辿りながら全体像を俯瞰すると、自然にいくつかのテーマやセクションが浮かび上がってきます。トップダウンで厳密なアウトラインを最初から決めるのではなく、メモを集めていく中で構成が自然に決まるというのが、この方法の面白いところです。
Obsidian は Markdown ファイルを用いたノートアプリであり、リンク機能や検索機能が充実しています。ここではツェッテルカステンの精神を活かすためのシンプルな運用例を紹介します。
基本のノート構成
まず「Vault(ボルト)」と呼ばれるノート保管庫を用意します。一つの Vault があなたの知的貯蔵庫(ツェッテルカステン本体)になります。ノートのフォルダ分けは最小限に留めると良いでしょう。
Literature
文献メモ用
Permanent
永久メモ用
Project
プロジェクト用
Daily Notes
走り書きメモ
あまり細かく分類しすぎると、かえってノート同士の横断的な繋がりが見えにくくなるので注意。ツェッテルカステン法では体系のシンプルさが重視されます。
走り書きメモの記録
日々の走り書きは、Obsidian の日記(Daily Notes)機能を使うと便利です。日付ごとのノートに簡条書きでその日の思考の断片を書いていけば、時系列でログが残ります。あるいは「Inbox」と名付けた1枚のノートに思いつきをどんどん追記し、定期的に仕分けるという方法でも構いません。大事なのは、素早く書ける環境を整えておくことです。
文献メモの作成と管理
文献ごとに1ノートを割り当ててメモを取ります。冒頭にその書誌情報(著者名、論文タイトル、出版年、参照ページなど)を書きます。その下に読み進めながら得たポイントを箇条書きや短い段落で追記していきます。メモの内容は先述のとおり自分の言葉で記録し、必要に応じて「重要」「要確認」といったマークやハイライトを付けます。また、文献メモから永久メモを作成したら、文献メモ側に「→ [[関連する永久メモ名]]」という風にリンクを書き込んでおくのも有効です。
永久保存メモの作成とリンク
永久メモは先に述べたルールに沿って、一つのファイルに一つのアイデアを書きます。ファイル名は内容を端的に表すものにしましょう(例:「社会的証明効果.md」「二重過程理論.md」)。Obsidian 上で新規ノートを作り、自分の言葉で1段落から数段落の本文を書きます。本文中で他の概念や関連トピックに触れたら、その都度既存のノートへのリンクを張ります。
Obsidian のリンクは双方向に繋がるので、リンクを張るだけで元のノートからのバックリンクが自動生成されます。こうして張り巡らされたリンクによって、Obsidian 上であなたの知識がどんどんネットワーク化されていきます。
索引・タグ・構造化ノート(MOC)
Obsidian では、索引の機能を自分で工夫して持たせることが可能です。シンプルな方法はタグ(#)を活用することです。ただしタグはあくまで大まかな分類なので、細かい整理には向きません。
そこでおすすめなのが構造化ノート(MOC: Map of Content)を作る方法です。Obsidian で新たにノートを作り、あるテーマについてその下位概念や関連項目を箇条書きで並べ、それぞれに該当するノートへのリンクを貼っていきます。例えば「研究方法」という構造化ノートを作り、「定性的アプローチ:[[質的調査]]、[[インタビュー手法]]…」「定量的アプローチ:[[統計分析]]、[[実験法]]…」のように書いていきます。
Obsidian 上ではこれが一種の目次ページとなり、自分のノート群の中でそのテーマに関する知識の構造が一目で分かる目次ページが出来上がります。
グラフビュー
Obsidian のグラフビューを見ると、構造化ノートがハブ(結節点)として可視化され、多くのノートがそこから繋がっている様子が確認できます。グラフビューではノート同士の関係性が星座のように表示され、ノート数が増えるほど複雑なネットワークが現れます。たまに全体のグラフを眺めることで「あ、このノートは直接リンクしていないけれど、関連があるかもしれない」と新たな発見が生まれることもあります。
ツールに振り回されない
Obsidian は多数のプラグインやカスタマイズオプションがあり魅力的ですが、設定に凝りすぎると本末転倒になります。重要なのは、常にアウトプットを意識してメモを取る習慣であり、ツールはそれを補助するものに過ぎません。基本は「メモを書く」「リンクする」というシンプルな行為に集中しましょう。
実際にツェッテルカステンを運用していく具体的なワークフローを、8つのステップに沿って説明します。このプロセスは日々のメモ作成から最終的な原稿執筆までの道筋を示したものです。
走り書きメモを書く:日常生活や研究活動の中で、何かアイデアや疑問が浮かんだら即座にメモします。「後で書こう」は厳禁です。
文献メモを取る:本格的に文献を読んだときには、その内容を自分なりに整理した文献メモを作成します。批判的かつ対話的に読み進め、できるだけ自分の言葉で要約しましょう。
アイデアを発展させる:文献メモや走り書きメモを書き終えたら、少し時間を取ってそれらを振り返りながら熟考します。一呼吸おいてメモの内容を自分の頭で展開させる時間を持つことです。
永久保存メモを作成する:熟考の結果、「これは重要だ」「将来的に使えそうだ」と判断したアイデアは、忘れないうちに永久保存版のメモとして書き起こします。「ひとつのメモにひとつのアイデア」の原則を守り、自分の言葉でリライトしてください。
メモ同士をリンクする:新しく作成した永久保存メモは、既存のメモと関連付けてネットワークに組み込みます。Obsidian なら [[メモ名]] と記述してリンクを張ります。バックリンク機能により、どのメモから参照されているかが自動的に一覧表示されます。
索引や構造化ノートを整備する:特に主要なテーマについては索引メモや構造化ノート(MOC)を用意すると全体像を把握しやすくなります。グラフビューも活用できます。
アウトプット(原稿)にまとめる:十分なメモが蓄積されたら、リンクを辿ったり索引ノートを眺めたりする中で、論じたい切り口や章立ての候補が浮かんでくるでしょう。関連メモ同士の組み合わせからアウトラインが形成されます。既にメモという形で材料は揃っているので、一から文章をひねり出す必要はありません。
推敲・編集する:下書きができたら、最後に推敲と編集によって完成度を高めます。全体を通して読み直し、一貫した流れになっているかチェックしましょう。ツェッテルカステンで構成を組み立てた原稿は、基本的には論旨がぶれにくいと期待できますが、それでも論文として体裁を整えるための言葉や背景説明の補足が必要になることがあります。
以上のステップ1〜8は、直線的に一度ずつ行えば終わりというものではなく、研究活動におけるサイクルとして繰り返し回していくものです。このサイクルが回れば回るほど、あなたの知識基盤はより充実したものになっていくでしょう。
ツェッテルカステン法と Obsidian というツールを最大限に活かすには、日々の習慣と環境づくりが重要になります。
第一
自分の言葉で書くこと。これは理解の深化とアイデア創出の源泉となります。
第二
メモを繋げること。アイデアは組み合わせることで新たな価値を生み、知識はネットワーク化することで真価を発揮します。
第三
アウトプット志向であること。最終的に論文や著作といった形で世に出すことを見据えて情報を整理すれば、メモの質も上がり、書くべき内容が明確になります。