人文学と対話(2026)
人文学研究の倫理について対話する
【第6回事前学習動画】人文学研究と倫理(前編)
【第6回事前学習動画】人文学研究と倫理(後編)
タイムライン
質問:「あなたの好きな飲みものはなんですか?」
人文学研究における倫理に関する講義動画を視聴します。
講義動画 (1/2)「人文学研究と倫理」
動画を視聴できないときの参考に
🎯 目的
人文学研究における倫理、研究者の社会的責任や研究環境の公正性に関する事例についてグループに分かれて対話と探究を行います
📋 内容
📱 事例1:ソーシャルメディアと人文学研究
大阪大学の大学院生の抱える悩みについて研究している知り合いの研究者が、あなたがソーシャルメディア上で書いた悩みについて「大阪大学の文系大学院生の悩み」の例として、自分の論文で使用していたということをあなたは知りました。あなたの名前やアカウント名は非公開となっているものの、あなたの投稿内容を論文の中で使用することをあなたは事前には聞かされていませんでした。
研究者が、ソーシャルメディアを通して発信されたある人の発言を、匿名化されているが許可なく研究に使用することは、研究に関する倫理の観点から
A:認められる / B:認められない
🗣️ 事例2:研究協力者の要望
私は、ある地域の消滅危機言語の研究をしたいと考え、文法や語彙についての文献研究を行っている。文献の管理や消滅危機言語の継承活動をボランティアで行っている人たちから「あなたが私たちの言語を研究するのはかまわないし、文献も貸します。でも、あなたの研究が、私たちの継承活動に役に立つならもっといいのに…」と言われました。
生きている人やコミュニティ・文化を研究対象とする場合に、研究対象/協力者の要望に研究者が
A:応える努力をする必要がある / B:必要はない
⚖️ 事例3:研究とワークライフバランス
私の所属する研究室では、修士課程の大学院生にも研究室全体の研究に関連する活動に関わることが推奨されている。ある時、指導教員から、教員が関わっている学会が今度の土日に大学で行われるが、急に人手が必要になったので手伝ってもらえないか、と声をかけられた。しかし、学会が行われる土日は、プライベートでも忙しい時期で、家族からも家の用事を頼まれており、高校時代の友人が帰省するので会おうと言われている。
この場合、
A:研究活動の協力を優先する / B:自分のプライベートの用事を優先する
→ 事例1〜3のうち、関心があるものを選んでグループに参加し、A/B二つの立場を選んだ理由・論拠を述べ、反対の立場の意見(理由・論拠)について質問をしてみよう
🎯 ワークの目的
第6、7回のワークの目的は、意見や立場が分かれるトピックについての対話と探究です。そのために必要な態度、スキルは以下のものです:
今回はティーチングスタッフがいる場合は進行役をしますが、もしいない場合は受講者で進行役を決め下記の手順で話し合いをおこなってください。
🔄 進め方
💡 対話のために
意見の異なる相手と対話する場合、「どちらが正しい」「〜するべき・〜するのはおかしい」という判断や評価は一旦保留し、「なぜ相手はそう考えるのか」「自分と相手の考えの根底にはどんな価値や前提のちがいがあるのか」を理解することを心がけてください。
このことを通じて、意見や立場がちがっていても、ともに考えることのできること(事例の本質的問題、共有できる論点)を見つけ、話し合うことができると、探究は深まります。
※ 第6回や第7回のテーマについては、ワークの目的上、両方の立場の意見が許容されます。特定のテーマについて多様な意見を聞くことが自分には難しいと思う場合は、その事例を選ばないでください。
※ D. ボーム『ダイアローグ 対立から共生へ、議論から対話へ』、英治出版、2007
📱 事例1:ソーシャルメディアの研究利用
事例の本質的問題、論点(のひとつ)
インターネットのソーシャルメディアは新しいツールであるため、そこでなされる発言の取り扱いの倫理的手続きについては、まだ社会的な合意が形成されていない場合もある。現在は匿名化して利用、公開することはプラットフォームによっては利用規約で可能とされている場合もあり、匿名化し、データとして研究に使用される場合もある。ただし、このケースのように、そのアカウントを知った経緯がオフラインでの人間関係をベースにしているものの場合は、配慮が必要な場合もある。
🗣️ 事例2:研究対象/協力者の要望
事例の本質的問題、論点(のひとつ)
研究者の調査や研究の目的と、研究対象者・協力者の要望が完全に合致する場合は少ない。研究者の目的と研究対象者・協力者の要望が異なる場合、相手の要望に合わせた研究をする必要はないが、研究者には自分の研究の目的や得られた結果をきちんと説明する義務はある。また研究対象者・協力者の要望に耳を傾け、理解する努力はするべきであり、その上で、自分の研究が研究対象者・協力者の要望に直接応えることができない場合でも、この部分は役立てることができるなど提案することも場合によっては可能である。
⚖️ 事例3:研究活動とプライベート
事例の本質的問題、論点(のひとつ)
日本の研究機関では、若手研究者の競争過多・ポスト不足もあり、研究に打ち込まなければ常勤の職を見つけることが難しいため、若手研究者はワークライフバランスを考慮することが難しい状況にある。海外では、大学院生を若手研究者とみなし、大学が雇用し、それによって生活費や授業料が賄える仕組みがある。日本の研究機関においては、特に修士課程の大学院生については、研究に従事すること=仕事という認識は薄いため、給与や奨励金が発生しないケースが多い。日本でも、理系の場合は、修士課程の学生でも、研究チームの一員として、研究という仕事の一端を担う場合が多い。それに比べると、日本の文系の修士課程の学生は、学習者(教育の受益者)として学費を負担する一方で、大学の研究活動にも協力している場合がある。また修士課程は研究職だけでないさまざまなキャリアを模索する段階でもあるので、就職活動を行う学生にとっては、就活と研究活動とのバランスも問題になる。
🎥 第7回への準備
第7回(人文学研究と現代における人権や共生の課題)についても、今回と同じ方式で対話と探究を行います。事前学習動画の内容をふまえ、事例を選び、事例についての両方の立場の論拠を(資料を読む、調べる、想像するなどして)考えてきてください。
講義内容についての質問と、対話の模範演技を観察します。
事例を共有する
事前に選んだ倫理的事例をグループ内で共有します。
立場A/Bを述べ、その理由を説明
それぞれの立場を明確にし、根拠を述べます。
相手の立場に疑問を投げかける
相手の論拠に対して建設的な疑問を提起します。
根底にある価値観を探究する
議論の背後にある価値観や前提を探ります。
授業を振り返り、フォームに記入します。