倫理 第6回

人文学と倫理

人文学と対話(2026)

🎯

この回のねらい

人文学研究の倫理について対話する

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事前学習動画(再掲)

クリックで開閉

【第6回事前学習動画】人文学研究と倫理(前編)

【第6回事前学習動画】人文学研究と倫理(後編)

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配布資料

授業の流れ

タイムライン

1
ミニワーク

はじめのミニワーク「発声練習」

質問:「あなたの好きな飲みものはなんですか?」

2
講義

講義動画の視聴

人文学研究における倫理に関する講義動画を視聴します。

講義動画 (1/2)「人文学研究と倫理」

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講義スライドの内容

動画を視聴できないときの参考に

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2
授業の目的と内容

🎯 目的

人文学研究における倫理、研究者の社会的責任や研究環境の公正性に関する事例についてグループに分かれて対話と探究を行います

📋 内容

  1. はじめのミニワーク "発声練習"(15分
  2. 今日のワークの説明(20分
  3. 対話型ワーク⑥:人文学研究の倫理に関する事例について、対話と探究を行う(42分
  4. このテーマに関する補足・授業に関する連絡(13分
5
人文学研究の倫理に関する3つの事例(事前学習動画)

📱 事例1:ソーシャルメディアと人文学研究

大阪大学の大学院生の抱える悩みについて研究している知り合いの研究者が、あなたがソーシャルメディア上で書いた悩みについて「大阪大学の文系大学院生の悩み」の例として、自分の論文で使用していたということをあなたは知りました。あなたの名前やアカウント名は非公開となっているものの、あなたの投稿内容を論文の中で使用することをあなたは事前には聞かされていませんでした。

研究者が、ソーシャルメディアを通して発信されたある人の発言を、匿名化されているが許可なく研究に使用することは、研究に関する倫理の観点から
A:認められる / B:認められない

🗣️ 事例2:研究協力者の要望

私は、ある地域の消滅危機言語の研究をしたいと考え、文法や語彙についての文献研究を行っている。文献の管理や消滅危機言語の継承活動をボランティアで行っている人たちから「あなたが私たちの言語を研究するのはかまわないし、文献も貸します。でも、あなたの研究が、私たちの継承活動に役に立つならもっといいのに…」と言われました。

生きている人やコミュニティ・文化を研究対象とする場合に、研究対象/協力者の要望に研究者が
A:応える努力をする必要がある / B:必要はない

⚖️ 事例3:研究とワークライフバランス

私の所属する研究室では、修士課程の大学院生にも研究室全体の研究に関連する活動に関わることが推奨されている。ある時、指導教員から、教員が関わっている学会が今度の土日に大学で行われるが、急に人手が必要になったので手伝ってもらえないか、と声をかけられた。しかし、学会が行われる土日は、プライベートでも忙しい時期で、家族からも家の用事を頼まれており、高校時代の友人が帰省するので会おうと言われている。

この場合、
A:研究活動の協力を優先する / B:自分のプライベートの用事を優先する

→ 事例1〜3のうち、関心があるものを選んでグループに参加し、A/B二つの立場を選んだ理由・論拠を述べ、反対の立場の意見(理由・論拠)について質問をしてみよう

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人文学研究の倫理に関する事例について対話と探究を行う

🎯 ワークの目的

第6、7回のワークの目的は、意見や立場が分かれるトピックについての対話と探究です。そのために必要な態度、スキルは以下のものです:

  • 自分が選んだ立場で、そう考える理由・論拠を他者が理解できるしかたで提示する
  • 反対の立場の考えや理由・論拠をより理解するために質問をする
  • 双方の意見の違いの根底に、どのような価値や前提の違いがあるのかを見つける/立場や考えが違っても、ともに探究できること(共有できる論点=ふりかえりシートの項目9)を見つける
⚠️ A、Bの意見のどちらが正しいかを決めるため議論や論証することは今回のワークの目的ではありません

今回はティーチングスタッフがいる場合は進行役をしますが、もしいない場合は受講者で進行役を決め下記の手順で話し合いをおこなってください。

🔄 進め方

  1. 事例のシェア・確認:自分たちのグループが選んだ事例について、全員が内容を理解できているか、確認する
  2. それぞれの立場、理由や論拠のシェア:グループの全員が、事例に関する問いについて、AかBのどちらかの立場に立ち、そう考える理由をできるだけ短くチャットに書く(例→「A:〜〜だから」)。全員がチャットに立場と理由を書いたら、一番上の人から口頭でも短く説明する
  3. 異なる立場の人・理由・論拠について質問しよう反対の立場の人やその理由・論拠について質問をしてみましょう⚠️ 反論はしない 哲学者の道具箱の「反例」を使って質問してみよう。もし、グループ全員が片方の立場を選んだ場合は、全員で反対の立場の人の理由・論拠を考えてみましょう
  4. 根底にある価値や前提の違いについて話し合ってみようAとBの意見の違いの根底に、どんなちがい(誰の目線で見ているか、言葉の意味づけ、条件、価値や前提のちがい、など)があるか話し合ってみましょう、あるいはAとBの立場で共通に話し合える〈問い〉や論点を見つけ、それについて話しましょう
7
第6、7回の対話における注意点
  • 第6、7回では、倫理や社会公正について意見が分かれるテーマについて話し合います。こうした場合には、時には話し合いがヒートアップして対話が難しくなることがあります
  • D. ボームは、意見の異なるテーマについて、双方が自分の「前提/〜が当たり前、〜でなければならない」に気づかず、それを押し付けあうだけであれば、話し合いが成立せず、深刻な対立につながると指摘しています

💡 対話のために

意見の異なる相手と対話する場合、「どちらが正しい」「〜するべき・〜するのはおかしい」という判断や評価は一旦保留し、「なぜ相手はそう考えるのか」「自分と相手の考えの根底にはどんな価値や前提のちがいがあるのか」を理解することを心がけてください。

このことを通じて、意見や立場がちがっていても、ともに考えることのできること(事例の本質的問題、共有できる論点)を見つけ、話し合うことができると、探究は深まります。

※ 第6回や第7回のテーマについては、ワークの目的上、両方の立場の意見が許容されます。特定のテーマについて多様な意見を聞くことが自分には難しいと思う場合は、その事例を選ばないでください。

※ D. ボーム『ダイアローグ 対立から共生へ、議論から対話へ』、英治出版、2007

9
【ふりかえり】事例について考えるべきキーワード

📱 事例1:ソーシャルメディアの研究利用

事例の本質的問題、論点(のひとつ)

  • 実名ではない・匿名化されているソーシャルメディアの発言をどのように扱うべきか?
  • ソーシャルメディアの発言は匿名化さえすれば研究に用いてよいのか?

インターネットのソーシャルメディアは新しいツールであるため、そこでなされる発言の取り扱いの倫理的手続きについては、まだ社会的な合意が形成されていない場合もある。現在は匿名化して利用、公開することはプラットフォームによっては利用規約で可能とされている場合もあり、匿名化し、データとして研究に使用される場合もある。ただし、このケースのように、そのアカウントを知った経緯がオフラインでの人間関係をベースにしているものの場合は、配慮が必要な場合もある。

🗣️ 事例2:研究対象/協力者の要望

事例の本質的問題、論点(のひとつ)

  • (背景)研究の自律性、客観・中立性の担保と研究者と研究対象者との解離、研究者への信頼の低下の間のジレンマ
  • 研究対象/協力者の要望に応える努力とはどんなことを意味するか?

研究者の調査や研究の目的と、研究対象者・協力者の要望が完全に合致する場合は少ない。研究者の目的と研究対象者・協力者の要望が異なる場合、相手の要望に合わせた研究をする必要はないが、研究者には自分の研究の目的や得られた結果をきちんと説明する義務はある。また研究対象者・協力者の要望に耳を傾け、理解する努力はするべきであり、その上で、自分の研究が研究対象者・協力者の要望に直接応えることができない場合でも、この部分は役立てることができるなど提案することも場合によっては可能である。

⚖️ 事例3:研究活動とプライベート

事例の本質的問題、論点(のひとつ)

  • (背景)研究者・研究におけるワークライフバランス・文系の大学院生の立場の曖昧さ
  • 修士課程の大学院生は、研究室の研究活動にどれくらい協力すべきか?
  • ワークライフバランスとは、何と何の間のバランスなのか?

日本の研究機関では、若手研究者の競争過多・ポスト不足もあり、研究に打ち込まなければ常勤の職を見つけることが難しいため、若手研究者はワークライフバランスを考慮することが難しい状況にある。海外では、大学院生を若手研究者とみなし、大学が雇用し、それによって生活費や授業料が賄える仕組みがある。日本の研究機関においては、特に修士課程の大学院生については、研究に従事すること=仕事という認識は薄いため、給与や奨励金が発生しないケースが多い。日本でも、理系の場合は、修士課程の学生でも、研究チームの一員として、研究という仕事の一端を担う場合が多い。それに比べると、日本の文系の修士課程の学生は、学習者(教育の受益者)として学費を負担する一方で、大学の研究活動にも協力している場合がある。また修士課程は研究職だけでないさまざまなキャリアを模索する段階でもあるので、就職活動を行う学生にとっては、就活と研究活動とのバランスも問題になる。

11
ふりかえりシートの記入・提出について
  • 今回も、今日の対話を振り返って、ふりかえりシートを記入し提出してください
  • 今回は(3)の項目に以下のことを書いてください
    • 自分のグループの事例の番号(事例1〜3)
    • グループで事例について話し合ってみて、あなたが考えたり、気づいたりしたこと

🎥 第7回への準備

第7回(人文学研究と現代における人権や共生の課題)についても、今回と同じ方式で対話と探究を行います。事前学習動画の内容をふまえ、事例を選び、事例についての両方の立場の論拠を(資料を読む、調べる、想像するなどして)考えてきてください。

3
質問

質問タイム・模範演技

講義内容についての質問と、対話の模範演技を観察します。

4
対話ワーク

対話ワーク:事例ディベート(4ステップ)

1

事例を共有する

事前に選んだ倫理的事例をグループ内で共有します。

2

立場A/Bを述べ、その理由を説明

それぞれの立場を明確にし、根拠を述べます。

3

相手の立場に疑問を投げかける

相手の論拠に対して建設的な疑問を提起します。

4

根底にある価値観を探究する

議論の背後にある価値観や前提を探ります。

5
動画

講義動画 (2/2)「人文学研究と倫理」

6
ふりかえり

ふりかえりフォームの記入

授業を振り返り、フォームに記入します。

ふりかえりフォーム
📚

次回の準備

人権・共生に関する動画3本を視聴してきてください。

第7回事前学習動画(1/3)

第7回事前学習動画(2/3)

第7回事前学習動画(3/3)

動画が表示されない場合はこちら

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