シラバス
人文学基礎(人文学と対話)
授業サブタイトル / Course Subtitle
人文学と対話
開講言語 / Language
日本語
学習方法 / Learning Methods
聴講・視聴
講義・教材・実演を視聴して学ぶ(例:講義の対面受講、オンデマンド教材視聴)
討論
学生同士や教員との間で質疑応答や意見交換を行うことで学ぶ(例:ペア・グループディスカッション、オンラインでのチャット、論文個別指導)
協同
ペアやグループで行う協同作業を通して学ぶ(例:グループによるポスター制作)
体験・実践
体験・実践等の行動ならびにそれに対するフィードバックにより学ぶ(例:問題演習、課題解決型学習)
授業の目的と概要 / Course Objectives
人文学は人間がつくってきた文化(歴史、言語、表現)、価値や認識の枠組みを主な研究対象とする学問であり、地理、歴史、文化上の他者の文化についての知見、洞察を深めながら、自分の属する文化や認識の枠組みを反省的に見直す営みがそこに含み込まれています。対話とは、自分とは異なる他者を認め、理解することであり、他者と共通の課題を見出し、探究することであるとするならば、他者や他文化と対話する力は人文学の営みの根幹に関わることであるとともに、人文学が現代的な課題や社会的要請に応えるためにも必要な力であると言えます。
現代社会では、科学技術の進歩や経済成長、効率が重視される反面、それが人間にとってどういった意味や価値を持つのかが問われている時代でもあります。また、グローバリゼーションのなかでの人口移動・変動、社会的属性や価値観の異なる人々の間の分断など、異なる世代・文化に属する人たちの間の対話と共生が課題となっています。つまり、ある事象や技術が人間にとって持つ意味や価値について考察し、異なる価値を持つ人々・文化を理解し対話する人文学の知見が現代ほど必要とされている時代はないと言えるのです。ただし、人文学がこれらの現代的、社会的要請に応えることができるためには、従来のディシプリンだけにとどまるのではなく、社会科学や自然科学等、他領域の専門家との対話や協働を行うことが重要であり、実際の社会課題にコミットし、社会のなかで生きている様々な価値や属性を持つ人々、市民やコミュニティとの対話のなかで、新たな人文学の知や研究実践を構築することが必要になると思われます。この授業では、人文学固有のディシプリン・存在意義について理解を深めるとともに、対話という態度やスキルを学びながら、現代的な課題に応えることのできる人文学的研究や実践とはどのようなものであるのかを受講者と共に考えることを行います。
学習目標 / Learning Goals
専門分野や考え方、文化的背景が異なる他者を尊重し、協働する対話的関係性を築くことができる
他者に対して積極的に質問し、自他の考え(価値、前提)への理解や気づきを深めることができる
具体的な事柄について問いを立て、他の人と問いを共有し、協働の探究を行うことができる
授業で体験した対話や協働の探求の意義を理解し、それが社会活動や研究・教育活動のなかでどのように適用することができるか述べることができる
人文学の方法論や存在意義を理解し、それをもとに現代的課題に応える人文学的研究・実践のあり方について、自分の意見やアイディアを述べることができる
履修条件・出欠席ルール
履修条件 / Prerequisites
人文学研究科の博士前期課程一年生向けの必修の授業です。
出欠席ルール / Attendance Policy
全授業回数のうち3分の2以上出席することが必要です。出席回数がこれに満たない場合、成績評価の対象外となります。
授業90分間Zoomに入室しない場合は欠席、授業開始後30分以降にZoomに入室した場合は遅刻(0.5欠席)とみなします。早退も0.5欠席とみなします。ただし、病気・通院や忌引等のやむを得ない理由の場合は履修上不利益とならないよう配慮します。
授業計画 / Class Plan
第1回
対話と探究を体験する(1)対話のコミュニティをひらく
対話的な関係性を築くための最初のセッション。対話とは何をすることか、参加者が安心して参加できる対話の場とは、オンラインにおける対話とは、について学びます。
第2回
対話と探究を体験する(2)質問を通じて他者を理解する
対話と探究のスキルとしての「質問」について学び、実践するとともに、他の参加者との交流を深めます。
第3回
対話と探究を体験する(3)「問い」を立てて探究する
対話と探究のスキルとしての「問い」について学び、自分で問いを立てる練習をします。グループでそれぞれの問いを共有し、ブラッシュアップさせます。
第4回
人文学は「役に立つ」のか?ー現代における人文学の課題
質問や問いを立てるスキルを使って、人文学は「役に立つ」のか?というテーマや、人文学と社会課題との接点についてともに探究します。
第5回
人文学研究と生成AI
質問や問いを立てるスキルを使って、生成AIを人文学研究に導入することについてともに探究します。
第6回
人文学研究と倫理
質問や問いを立てるスキルを使って、人文学研究における研究倫理や研究者の社会的責任、研究環境の問題についてともに探究します。
第7回
人文学と現代の共生や人権の課題
質問や問いを立てるスキルを使って、異なる社会的属性を持つ人の分断が進む現代社会における共生や人権の課題と人文学の関わりについてともに探究します。
第8回
人文系大学院生のキャリア形成
質問や問いを立てるスキルを使って、人文系の大学院生のキャリア形成や人文学を学んだ人が社会でどのように活躍できるのかについてともに探究します。
※各回とも、授業前に関連動画の事前学習、授業後にふりかえりシートの作成・提出が必要です。
参考図書 / References
- ●高橋綾・ほんまなほ『こどものてつがく ケアと幸せのための対話』大阪大学出版会、2018年
- ●安斎勇樹・塩瀬隆之『問いのデザイン:創造的対話のファシリテーション』学芸出版社、2020年
- ●隠岐さや香『理系と文系はなぜ分かれたのか』星海社新書、2018年
- ●眞嶋俊造・奥田太郎・河野哲也編著『人文・社会科学のための研究倫理ハンドブック』慶應義塾大学出版会、2015年
成績評価 / Grading
30
出席点
20
ふりかえり提出
20
ふりかえり達成度
30
最終レポート
最終レポート配点(30点満点)
15
課題1「対話と協働の探究」
15
課題2「人文学研究の課題」
合計:100点満点
出席点(30点満点)
| 出席回数 | 5.5 | 6 | 6.5 | 7 | 7.5 | 8 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 点数 | 15 | 18 | 21 | 24 | 27 | 30 |
ふりかえりシート提出点(20点満点)
| 提出回数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 点数 | 2 | 4 | 6 | 10 | 13 | 16 | 18 | 20 |
ふりかえりシート達成度(20点満点)
担当講師が全8回分のふりかえりシートの内容を質的に評価するとともに、グループワークも含めた参加の態度を総合的に評価して採点します。
コミュニケーションや対話力という実技養成を目的とするため授業への8割以上の参加を原則とします。
グループワーク評価の観点
(1)専門分野や考え方、文化的背景が異なる他者を尊重し、協働的な対話的関係性を築くことができる
(2)他者に対して積極的に質問し、自他の考えへの理解や気づきを深めることができる
(3)具体的な事柄について問いを立て、対話のなかで問いを共有し、協働の探究を行うことができる
レポート評価の観点
(1)授業で学習した内容についての正確な知識をもとに意見を述べることができる
(2)意見を述べる際に探究のスキルとしての質問や問いを立てるというスキルを生かしている
(3)授業で学習したことやGWで話し合われたことに基づき、新しい観点や知識を加えて意見を述べることができる
合理的配慮 / Reasonable Accommodation
本授業を受けるにあたり、障がい(難病・慢性疾患等を含む)に起因して合理的配慮を要する場合は、所属学部/研究科の障がい学生支援担当窓口(教務係/学務係/学生支援係等)やキャンパスライフ健康支援・相談センターアクセシビリティ支援室に相談してください。
特記事項 / Special Notes
少人数のオンラインでの対話・グループワーク型の授業になります。
対話という活動の性質上、受講者はカメラオンで、グループワークに参加、発語できる環境・状態で受講してください。